苛性ソーダと石鹸の関係
■苛性ソーダって何?
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は劇物として知られています。直接触れると火傷したり、化学反応でガスを発生させたりするので、取り扱うのにはとても危険な代物です。なので、手作り石鹸を作ろうと思っても薬局などでは簡単に売ってもらえません。
では、そんなに危険な苛性ソーダを使って、毎日身体に触れる石鹸を作っても大丈夫なの?という疑問を感じる方も大勢いらっしゃるでしょう。苛性ソーダを使っているなんて危険なものは使うべきじゃないと思ってしまう方もいるかもしれませんね。また、苛性ソーダを使っているのに無添加とは何事かとか。。。
肌が荒れる原因が苛性ソーダにあるのではないか・・・苛性ソーダ自体の劇物性がそのように想像させるのは無理もありません。しかし、肌荒れの原因は苛性ソーダというよりは、他の石油系化学添加物や生活環境にあることの方が多いのです。
■苛性ソーダへの過剰な反応をする前に
冷静になって考えて下さい。
皆さん、石鹸をお使いになって火傷したことありますか? 使うと火傷する石鹸どこに売ってますか? 石鹸が爆発したことありますか? 間違いなくそんな石鹸見たことないですよね。メーカーだって、そんな殺人石鹸は販売できません・・・
なぜ、苛性ソーダが石鹸作りに必要なのかというと、石鹸の素地は、脂肪酸(油脂)と苛性ソーダ(アルカリ)を反応(鹸化)させて固形化されているからです。
石鹸を作る時に脂肪酸と苛性ソーダを「釜で茹でたり(炊き込み法)」、「撹拌したり(冷製法)」して鹸化させていきますが、この過程でほとんどの苛性ソーダは化学反応で変化し「脂肪酸ナトリウム」となって石鹸には残っていません。ほんの少し残っていたとしても石鹸の熟成期間に更に鹸化が進み、残っていた苛性ソーダは脂肪酸ナトリウムになるのと合わせ、水分と一緒に蒸発してしまいます。
■苛性ソーダの量と保湿力の関係
冷製法(コールドプロセス)などで、保湿力を高めようとする石鹸は、苛性ソーダの分量を可能な限り少なくする為(ディスカウントと言います)、苛性ソーダが石鹸に残る確率が更に低くなります。少ない苛性ソーダの分量で鹸化を進めなければいけませんので撹拌も念入りに行われますし、脂肪酸の分量の方が多いため、化学反応せずに残った脂肪酸によって保湿性が高くなるというわけです。
■ご安心ください
石鹸の出来栄えを食べて確認する職人さんもいらっしゃるくらいですから、石鹸には苛性ソーダは残らないという認識が正解だということです。苛性ソーダが残っていたら、この職人さん、とっくの昔に天国に行かれていることでしょう。